高尿酸血症とは
血液中に含まれる尿酸の濃度を数値化したものが血清尿酸値(尿酸値)です。この尿酸値が7.0mg/dL以上と判定されると高尿酸血症と診断されます。
尿酸に関しては水に溶けにくい性質で、高尿酸血症の状態になると結晶化するのですが、これが関節に溜まるなどすると、白血球が結晶を異物と認識して攻撃するようになります。すると炎症反応し、患部は腫れ、激痛に見舞われるようになります。これを痛風発作(痛風)といいます。この発作は、関節であればどこの部位でも発生する可能性はありますが、よくみられるのが足の親指の付け根です。そのほか、手首、肘、膝、かかとの部位でも発症することがあります。ちなみに激痛のピークは発症から24時間程度で、一週間ほど経過すると何事もなかったように消えていきますが、再発のリスクは高いです。
なお高尿酸血症の状態にあっても痛風発作が起きないこともあります。このような場合の多くは、何の治療もせずに放置することが大半です。ただ尿酸値が高いままであれば、痛風結節や腎障害(痛風腎)、尿路結石などの病気を併発するリスクが上昇するので、高尿酸血症の診断を受けた時点で、尿酸値を下げる治療を行うようにしてください。
発症の原因
また尿酸が体内で増える原因は、体内で尿酸が排出しにくくなる(尿酸排泄低下型)、あるいは過剰に尿酸が産生される(尿酸産生過剰型)といったものがありますが、患者さんによっては両方が原因ということもあります。なお尿酸排泄低下型の場合は、腎不全など腎臓の病気、脱水症状がみられる、遺伝的体質などが考えられます。また尿酸産生過剰型では、先天的な代謝異常、尿酸の元となるプリン体を多く含む食品の過剰摂取、造血器官の病気などが挙げられます。
治療について
治療方法は大きく2つあります。まず痛風発作の症状を抑える治療法としては、コルヒチン、NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)、ステロイドなどを用いた薬物療法となります。なお痛風による症状がある場合は、尿酸値を下げる治療(薬物療法)は行いません。
また高尿酸血症の患者さんに行われるのは、生活習慣の改善と薬物療法です。生活習慣の改善で大事なのは食事療法で、高脂肪食やプリン体を多く含む食品(レバー、魚の干物、大正エビ、カツオ 等)は控え、尿をアルカリ化する食品(野菜、海藻、イモ類 等)を積極的に摂取していきます。さらに尿酸値を上昇させるアルコールは節酒するようにしていきます。このほか尿と一緒に尿酸を排出しやすくさせるため1日の尿量が2ℓ以上になるよう水分を摂取していきます。
また肥満の方は、尿酸が体内で多く産生されてしまうので、減量をしていきます。体重がBMI25未満になることを目標に運動をしていきます。とくに有効なのはウォーキングやエアロビといった有酸素運動です。継続的に行うようにしてください。
上記で挙げた生活習慣の改善だけでは、尿酸値が下がらないという場合は併行して薬物療法を行っていきます。患者さんのタイプによって、尿酸の産生を抑制する薬(アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット 等)、もしくは尿酸の排出を促進させる薬(ドチヌラド、ベンズブロマロン、プロベネシド)が用いられます。